食中毒・感染症予防の研究:食中毒統計(食中毒事件数・患者数)
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1.HACCPによる食品安全管理

HACCPによる食品安全管理の構築を推める過程で達成条件として、安全度を数値化するためのチェック項目が既定されている。

例)従事者の衛生管理

表1 安全度を数値化するためのチェック項目と合格・不合格判定基準(例)

  チェック項目 減点 達成条件

マニュアルの有無・

遵守事項のチェック

不合格基準

従事者の衛生管理

従事者の清潔維持

※記録

「個人衛生チェック」

-12

調理従事者の作業衣、身だしなみ、禁止事項が明示されていること

【遵守事項】

・調理場専用の作業服、履物を着用し、定期交換する。

・清潔な身だしなみ(髪・ひげ・鼻毛・爪・マニキュア等)

・持ち込み禁止私物(本・個人の包丁・薬等)、不要物(装飾品・腕時計等)、異物混入リスク対象物[画鋲・シャープペンシル・カッター・安全ピン・剥き出しのヘアピン等)

・禁止行為(放たん、持ち込みの飲食、更衣)

●「個人衛生チェック」は単純ではなく、ペアで相互チェックできないと×

●腕時計、指輪、マニキュアは×

●調理場専用の作業着、帽子、履物でない場合は×

●調理場内に、私物があると×

●調理場内に、不要物があると×

●調理場内に、異物混入対象物があると×

●作業場での持ち込み物の飲食、またはその形跡があれば×(個人のマグカップもダメ、賄い食は厳禁)

 

従事者の健康管理

※記録

「個人衛生チェック」

 

検便の実施等、体調不良および検便結果が陽性の従事者について、対応方法が文書化されていること【遵守事項】

・日々の体調(下痢・腹痛・吐き気・嘔吐は出社厳禁}確認を行う

・年2回以上の検便検査の実施

・体調不良従事者は、状況に応じて対応する(帰宅・医療機関受診、食品に接触しない業務、マスク着用、手袋着用)

●検便の実施記録(実施年月日、従事者名、結果)がないと×

●「嘔吐、下痢症状」スタッフの出社厳禁が守られていないと×

●咳、鼻水等の感染症の恐れがある従業員がマスク未着用で調理に従事していると×

●手指にキズがあるのに手袋未着用で調理に従事していると×

●後工程に加熱処理がない場合、手袋未着用は×

 

従事者の手洗い

※手洗い手順書の提示

※記録

「設備チェック」

-12

手洗い手順が指示されていること

【遵守事項】

・流水受槽式手洗い、洗浄機、消毒液、爪ブラシおよびペーパータオルまたは手指用乾燥機を用いること

●従業員が指定された手順で手洗いをしていない場合用は×(洗い・乾燥・殺菌の3工程)

●手洗い設備の管理不備は×(爪ブラシ・洗浄機・消毒液・ペーパータオル・衛生状態)

●「サンコリテラップ」による月に1回以上の作業者の手指の定期検査記録がなければ×(作業中の測定も加える)

平成17年11月 便所への入室手順 -12

調理作業時の便所入室手順の記載があること

【遵守事項】

・調理作業時の外衣、帽子、履物で便所へ入室しないこと(もしくは、トイレ専用コートの着用でも可)

・脱いだ外衣、帽子、履物を保管する場所が確保されていること

●便所入出時の左記遵守事項が守られていない場合は×

●作業衣等をかける場所の確保がない場合も×

●履物は、トイレ専用がないっ倍でも、履き替えプロセスが入っていれば当面は○とする

表1の従事者の手洗いについて

(1) 手洗い手順が指示されていること

(2)遵守事項

・流水受槽式手洗い、洗浄液、消毒液、爪ブラシおよびペーパータオルまたは手指用乾燥機を用いること。

と既定している。

又、厚生省(旧)の大量調理の現場に於ける衛生管理既定の中でも同様に、ペーパータオル又は手指用乾燥機を用いることがガイドラインとして既定されている。

2.平成9年3月17日(1997年) 大量調理施設衛生管理マニュアル

平成9年3月17日(1997年) 食品衛生調査会が大量調理施設衛生管理マニュアルをとりまとめ、それ以降、マニュアルに沿って給食施設にHACCPを導入する動きが強まった。

 学校給食センターを中心に旧厚生省はウエット構造施設のドライ化に取り組んだ。

従事者は長ぐつをはき、流・排水で濡れていた床面を如何に乾いた状態で維持するかを考えた。このドライシステム化の目的は施設をドライに保つことは食中毒菌の繁殖防止やまた、従事者の足下が滑らないなどの安全面からも推奨された。

 その後、旧厚生省が実施する「調理施設に於けるHACCP試行事業」に基づく衛生管理の実施に成功している。愛知県稲沢市立稲沢中学校給食調理場の手洗い設備と手洗い励行の事例を紹介します。

○手洗い設備は

 1.校内へ給食を運び込む配膳室

 2.食材を納入業者から受け取る検収室

 3.調理場(更衣・休憩室の出入り口の横)

の3ヶ所に設置されている。調理場以外の手洗い設備にはペーパータオルが使用されているが調理場内の手洗い設備にはエアータオル(注1)(エアーによって水滴が飛び散らないように、送風部分全体が覆われたタイイプのもの)が設置されており、調理場内で余分なゴミを出さないように配慮されている。

注1:自動手指熱風邪殺菌乾燥機

○事例の中で衛生管理責任者が注目すべき手洗いの方法について報告がされている。

 HACCPの導入以前は保健所等関係省庁より「手洗いの励行」を厳しくいわれていたため調理員はことあるごとに手を洗っていたがしかし、多すぎる手洗いは、手指に付着する最近を洗い落とすにとどまらず、人間の本来持っている菌(常在菌)を手指から引き出してしまい、かえって食品を汚染してしまう。また食品汚染に直結する手荒れの原因にもなるため「手の洗いすぎ」を指摘している・

○この時期旧厚生省は大手厨房メーカー5社を呼び、エアータオルの使用の中で中学校給食センター等大量調理をする現場に於いて、風速100mのような水滴を手指から飛ばす方式のものは食品加工現場3m以内で使用しないようにと通達した。

 東京都内の保健所や埼玉県の保健所の最近検査で手入れ口の廻りと水滴がたまる所から多くの細菌が検出された報告があり、それを踏まえたものと考えます。

3.ペーパータオルとエアータオル(乾燥機)の検討

ペーパータオルは調理従業者にとって数秒で水分がふき取られ使い易いという利点があるが、反面

 1.ゴミを多くすることと費用がかかる

 2.手指表面から水滴を取ることはできるが乾燥ではない為シワ等に水分が残存する。

エアータオルは手指表面の水滴を飛ばす行為のため風速100m以上になり付近に菌をまき散らす。また、取り入れる空気を殺菌していないためウイルス等空気中の菌をひろって、逆にヒトへ吹き付ける。

参考文献:HACCP 2007Vol.13

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